胸が痛いのは、もしかしたら気胸かも?
気胸とは
気胸は、肺に穴が開いて肺から胸膜腔(胸の空間)へ空気が漏れ出し、肺がしぼむ状態です。医師には「肺のパンク」に例えられ、「タイヤのパンクのように肺がしぼむ」と説明されます。多くは肺表面の薄い膜である「ブラ(肺胞の嚢胞)」が破れて起こり、突然発症して一度治っても再発しやすい病気です。
正常な肺は呼吸で大きく膨らみますが、気胸では漏れた空気が膨らみを妨げるため息苦しさなどの症
状が出ます。専門用語を整理すると、「胸膜腔」や「ブラ」は、胸の内側の空間や肺の外側にできる小さな袋状の部分を指します。
気胸の症状
- 突然の胸痛: 主に突発的な胸の痛みが特徴です。痛みは刺すようなこともあれば、ズキズキと重いこともあり、息を吸い込むと強くなることがあります。
- 息苦しさ・呼吸困難: 漏れた空気が肺の膨らみを妨げるため、「息を吸っても満足に膨らまない」ような強い息苦しさや息切れが現れます。軽度の場合は違和感程度のこともありますが、空気漏れが多いと呼吸が苦しくなります。
- 乾いた咳: 体が異常を感知して、せきが誘発されることがあります。咳は痰(たん)の出ない空咳であることが一般的です。
- その他: 症状には個人差があり、背中の痛みを訴える人もいます。発熱はほとんどなく、熱がある場合は気胸以外の肺炎などの可能性も考えられます。
受診の目安
急な胸痛や強い息苦しさを感じたら、すぐに医療機関を受診してください。特に、胸痛や息苦しさが増強し、動悸・めまいを伴ったり、顔色や手足が青紫色になる(チアノーゼ)場合は、生命に関わる緊張性気胸への進行が疑われます。緊張性気胸は放置すると肺や心臓の血管が圧迫され、血圧低下やショック状態となり命に関わる危険があります。したがって、上記のような重い症状が現れたら、救急車を呼ぶなど緊急受診が必要です。軽度でも「胸が痛い・息苦しい」と感じた場合は早めに受診し、胸部レントゲン検査を受けましょう。気胸は突然起こることが多いため、病院を受診すれば迅速に診断がつき、適切な対処が行われます。
診断方法
医師はまず問診と身体診察を行い、聴診器で肺音を聴取します。気胸が起こった側では、肺の膨らみが小さくなっているため呼吸音が弱くなります。その後、胸部レントゲン(X線)写真を撮影し、肺が虚脱しているかを確認します。
レントゲンで肺のしぼみ(肺縁が明らかに見える)があれば気胸と診断できます。小さな気胸や詳細評価のためには、胸部CT検査でさらに精密に確認することもあります。
このように、問診・聴診・画像検査(レントゲン、CT)を組み合わせて気胸の診断が行われます。
治療方法
気胸の治療は病状に応じて段階的に進めます。軽度の気胸では安静にして自然治癒を待ちます。安静時でも酸素吸入を行いながら経過観察し、通常は1~3週間程度で漏れた空気が血液に溶けて自然に消失します。痛みや息切れがない軽度例では外来通院での経過観察が可能です。
- 胸腔ドレナージ: 気胸が中等度以上で症状が強い場合や呼吸苦が続く場合は、入院して胸腔ドレナージを行います。これは肋骨の間から胸腔内に細いゴム製の管(チェストチューブ)を挿入し、漏れた空気を持続的に外に抜く治療法です。ドレーンは逆流防止弁付きの排気袋につながれ、肺が再び膨らむまで空気を抜き続けます。肺が十分に膨らみ、管からの空気漏れが止まればドレーンを抜去して治療を終了します。なお、緊張性気胸では生命の危険があるため、胸腔ドレナージの前に緊急で胸に太い注射針を刺して空気を抜く応急処置を行う場合があります。
- 手術: 胸腔ドレナージを行っても空気漏れが止まらない場合や、気胸が再発した場合は外科手術を検討します。手術では、原因となる肺のブラ(のう胞)を胸腔鏡下で切除したり縛ったりして処理します。
通常は小さな切開(胸腔鏡手術)で行い、併せて胸膜を癒着させる処置を行うこともあります。手術後の再発率は低くなり、多くは1~2週間で回復します。
医療法人社団佐介会 田中クリニックでは、呼吸器専門医が担当し、気胸についての診断・治療・大学病院への紹介を行っています。気になる症状などがありましたら、是非お気軽にご相談ください。
