猛暑が続く夏、エアコン(クーラー)は欠かせない存在です。しかし、「エアコンをつけると途端にコンコンと咳が出る」「冷房の効いた部屋に入ると喉がムズムズする」といった症状に悩まされていませんか?

「エアコンで冷えたから」「単なるクーラー病や夏風邪かな」と放置されがちですが、実はその咳、「夏型過敏性肺炎」「咳喘息(せきぜんそく)」という呼吸器の病気が潜んでいる可能性があります。

今回は、日本呼吸器学会 呼吸器専門医である田中クリニック院長の視点から、エアコンと咳の関係、注意すべき2つの疾患、そして田中クリニックでの検査・診断について分かりやすく解説します。

1. なぜエアコンをつけると咳が出るのか?

エアコンのスイッチを入れたときに咳が出る原因は、大きく分けて「空気中のアレルゲン(物質)」「冷気による刺激」の2つがあります。

① エアコン内部のカビ(トリコスポロン)

締め切った室内でエアコンを動かすと、内部で繁殖したカビの胞子が風に乗って部屋中に撒き散らされます。これを吸い込むことで気管支や肺がアレルギー反応を起こし、咳を引き起こします。

② 急激な温度変化と乾燥

冷たい空気や乾燥した空気は、それ自体が気道(空気の通り道)にとって強い刺激となります。気道が過敏になっている人は、冷気を吸い込んだ瞬間に気管支が収縮し、反射的に咳が出てしまいます。

2. 考えられる2つの主な疾患

単なる一時的な咽頭の不快感ではなく、以下のような疾患が原因となっているケースが多く見られます。

原因①:夏型過敏性肺炎(なつがたかびんせいはいえん)

夏型過敏性肺炎は、エアコンや住居内に発生する「トリコスポロン」というカビ(真菌)を繰り返し吸い込むことで、肺胞(肺の奥にある組織)に炎症が起きるアレルギー性の肺炎です。

  • 主な症状:乾いた咳(コンコンという咳)、微熱〜発熱、息切れ、だるさ
  • 特徴:「家やオフィスに入ると症状が出現・悪化し、外に出たり外出・入院したりすると治まる」という明確な日内変動や環境差があります。6月〜10月頃の初夏から秋口にかけて多く見られます。

原因②:咳喘息(せきぜんそく)

咳喘息は、ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)や息苦しさは伴わないものの、慢性的に激しい咳が続く病気です。

  • 主な症状:数週間〜数ヶ月続く乾いた咳(夜間や朝方に悪化しやすい)
  • 特徴:エアコンの冷気、タバコの煙、会話、運動などの些細な刺激で咳き込みます。風邪をひいた後に気道が過敏になり、そのまま咳喘息へ移行するパターンも非常に多く見られます。放置すると約3割が本格的な「気管支喘息」へ移行すると言われています。
エアコンによる「夏型過敏性肺炎」と「咳喘息」の違いを解説する図解イラスト。カビや冷気で咳き込む患者の様子と、呼気NO検査・レントゲン・肺機能検査で正確な診断を行う田中クリニックの女性呼吸器専門医が描かれている。

3. 「夏型過敏性肺炎」と「咳喘息」の見分け方セルフチェック

ご自身の咳がどちらに近いか、以下のポイントをチェックしてみてください。

チェック項目夏型過敏性肺炎の可能性咳喘息の可能性
症状が出る場所特定の部屋・建物の中(外に出ると楽になる)場所を問わず、冷気や会話で咳が出る
全身症状熱っぽさ、体がだるい、息苦しさがある熱はなく、咳だけが長く続く
発症時期夏場(エアコンを使う時期)に集中する一年中起こりうるが、季節の変わり目や夏に悪化

※これらはあくまで目安です。正確な診断には医療機関での適切な検査が必要です。

より詳しい疾患に関する情報は、日本呼吸器学会が発信している以下のコラムもぜひご参照ください。

? 参考リンク:日本呼吸器学会 市民向けコラム https://www.jrs.or.jp/citizen/column/2025/0730123337.html

4. ご自宅でできるエアコン咳対策

症状を和らげ、予防するためには、日常生活での以下のケアが効果的です。

  • エアコンの定期的な掃除フィルターの掃除はもちろん、可能であれば専門業者による内部(送風ファンや熱交換器)のカビ取り洗浄を行いましょう。
  • 冷気が直接当たらない工夫風向ルーバーを調整し、冷風が直接身体や顔に当たらないようにしてください。
  • こまめな換気と湿度管理エアコン使用中も定期的に窓を開けて空気を入れ替えましょう。また、冷房による室内の乾燥を防ぐため、喉の保温やこまめな水分補給を心がけてください。

5. 正確な診断のために田中クリニックで行っている検査

長引く咳の原因は一見似ているようでも、治療法はまったく異なります。一般的な風邪薬(鎮咳薬)では、過敏性肺炎や咳喘息の炎症を抑えることはできません。

田中クリニックでは、患者様のお悩みに対して見切り発車での処方は行わず、日本呼吸器学会 呼吸器専門医としての知見と、充実した検査機器を用いて「原因を客観的に数値化・可視化する正確な診断」を心掛けています。

【検査に関するご注意】 必ずしもご来院当日にすべての検査を実施できるわけではありません。患者様の体調や激しい咳の状態などにより、検査項目によっては風邪などの急性疾患が治った「平常時」に実施しないと、正しい判定ができない場合があります。医師が診察を行ったうえで、最も正確な診断につながる最適な検査のタイミングをご案内いたします。

  • 呼気NO(一酸化窒素)検査吐き出す息の中に含まれる一酸化窒素の濃度を測定します。気道の「アレルギー性の炎症」の度合いが数値で分かり、咳喘息や気管支喘息の確実な診断に非常に有用です。
  • レントゲン(胸部X線)検査肺全体の状況を確認します。夏型過敏性肺炎による肺の陰影の有無や、結核・肺気腫・その他の器質的疾患が隠れていないかをしっかりと鑑別します。
  • 肺機能検査(スパイロメトリー)息を限界まで吸い込んだり勢いよく吐き出したりすることで、肺の容積や空気の通り道(気道)の狭さを評価します。息苦しさの原因や気管支の収縮状態を客観的に把握できます。

6. 呼吸器内科を受診すべきタイミング

次のような症状がある方は、我慢せずに早めに田中クリニックまでご相談ください。

  • 咳が2週間以上続いている
  • エアコンをつけると毎回激しく咳き込む
  • 市販の風邪薬や咳止めを飲んでも一向に良くならない
  • 夜間に咳で目が覚めてしまう、息苦しさを感じる

「たかがエアコンによる冷え」と放置してしまうと、症状が長引いたり喘息へ移行したりするリスクがあります。長引く咳には、日本呼吸器学会 呼吸器専門医による適切な検査・診断を受け、原因に合わせた正しい治療(吸入ステロイド薬など)を行うことが早期改善への一番の近道です。

なお、長引く咳の根本的な原因を突き止める検査は、風邪などの急性症状が治まった「風邪をひいていないタイミング」で行う必要があります。そのため、まずは一度ご受診いただいて症状に応じた処方を行い、風邪がしっかり治癒したタイミングで再度ご受診いただいてから精密検査を実施いたします。正確な診断と適切な治療のために、医師が指示するタイミングでの再受診を必ずお願いいたします。

気になる症状や長引く咳でお困りの方は、どうぞお気軽にご受診ください。

田中クリニックのご案内・Web予約・アクセス

診療時間やWebからのご予約・事前問診につきましては、田中クリニックの公式ホームページをご確認ください。また、ご来院の際は交通アクセス情報も併せてご覧ください。

? 田中クリニック 公式ホームページ https://tanaka-clinic.org

? 田中クリニック 交通アクセス・診療時間はこちら https://tanaka-clinic.org/accessmap/

「咳が長く続く」「息苦しい」など、お気軽にお問い合わせください。

JR線・都営地下鉄 東中野駅 徒歩4分
東京メトロ 落合駅 徒歩4分
東京都中野区東中野3-17-18

TEL: 03-5348-2707